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「SUPERCAR」
★SUPERCAR@新木場STUDIO COAST



■実感がわかないまま当日を迎えた。
ナンバーガールラスト@札幌の時は、朝イチの飛行機で行かなくてはいけなかったから、朝ねぼうしたら大変だ!と前日から緊張感にみちあふれていたのだけれど、今回のライブは東京、その心配も無く、いつものように起きて、いつものように仕度をして。
でも、チケットを手にした時に身体がぶるっと震えた。そして高揚感が無い。いつもなら、今日はスーパーカーのライブだ、って思うと、文字通りウキウキしてしょうがないのだけれど、そういう気持ちはわいてこなかった。

■突然実感がわいたのは、会場の最寄駅である新木場駅の改札を出る直前だった。目の前に、チケットを譲って欲しい旨書かれたボードを持つ、たくさんの人、人、人。胸が痛い。ちょうど目の前に落ち合うことになっていたSくんがいて、チケットを渡そうとしたところ、彼がその場所でのやりとりに少しためらいを見せた。「狩られそうで怖い?(笑)」なんて冗談で言ったけれど、チケットを持っていない人達の気持ちを思うと、そうできないのは無理も無い。
駅を出て歩くこと2、3分、その道中にもたくさんのボード。海岸近くの所為か風が刺すように冷たかったけれど、冷たさを感じる理由はそんな外的要因だけじゃあない、と思った。

■まわりの風景とは異質な今日の会場・STUDIO COASTに着くと、会場入り口に今日の公演を知らせる看板が掲げられていた。そこには「SOULD OUT!」との文字。故意かどうかはわからない。でも、故意だとするならば、それはあまりにも切ない文字だった。
ちょうど会ったKさんと相方と3人で一緒にロッカーに荷物を詰め、寒空の下で震えながら入場を待った。皆コートはロッカーにしまい、Tシャツ姿。昔懐かしのTシャツから最近のものまで…まるでTシャツ博覧会。あのツアーはあんなだったなあ、とか、このツアーはあんなだったなあ、とか、Tシャツからひとつひとつ思いを馳せた。

■初めて入ったCOASTは、エントランスが真っ赤な内装にシャンデリアで驚いた(笑) そして物販を行っていたロビーを抜け、中に入ると…横長に広く、そして後方はせりあがるように高い。ひな壇というよりは、2階と言っても差し支えない高さ。縦に長い会場だと見るのに不便だけれど、こういう横長な会場ならその点少しはましだろう。
PAまわりを陣取りたかったのだけれど、なんとかなり段数のある階段のため、なだれ・将棋倒し防止のためか、この日は一切立ち止まることを禁止されていた。どうしよう…と、うろうろとしたけれど、背の低い私によさげなポイントは既に埋まっており。困ったなあ…と思っていたら、相方さんがかなりいいポイントを押さえててくれた。感謝。とても見晴らしがいい場所だった。結局そこからは見えないものが全く無く、私は最後まで全てを目に焼き付けることができたのでした。ありがとう。

■最後のライブで前のほうに行かなかったのは、懸念していたことがあったからだ。
前の方で見て、他のお客さんの熱気にやられて、ライブに集中できなかったらどうしよう、と思っていた。ライブを迎える数日前からそのことばかりが気になっていたんである。思い出したのは2004年のフジロック、ファンサービスかつ盛り上がりに徹したセットリストに、場内のムードは必要以上(と私は感じた)にヒートアップして、全く似合わないoiコールや手拍子に一気にテンションが下がってしまい、自分自身は全く楽しむことが出来なかったのだった。
それと、ナンバーガールラストツアーの最後からふたつめ、Zepp Tokyoでの思い出もあった。解散する、ということに対して過剰にセンチメンタルになってしまったお客さんが終始叫び、暴れ、肝心なステージ上のライブに対して実は意識がいっていないように思えてしまったのだった。別に醒めて見ろ、なんて言うわけじゃないのだけれど、私は最後だから演奏をしかと焼き付けたい。観衆の怒号を刻みたいわけじゃないのだ。
そして今回のライブは最後のライブ。少なくとも他者から見たら空中分解したように思えたバンドが最後にわざわざライブをするというのは、ファンに対してのサービスだろうと思った。ならば、セットリストもきっとそれに沿ったものを用意してくるに違いない。
そういった予想をひとまとめにすると、どうしても不安要素しか残らなかった(苦笑) 大好きだから、だからこそ、予防線を張ってしまっていたのかもしれない。

■17:00の開演予定時刻まではあっという間だった。
そして過ぎること幾許か、場内の照明は暗転した。
時計は17:16を指していた。

■PA後方からステージに向かって緑のレーザーライトが照らされた。
そこで初めて、舞台に緞帳が降りていたことに気付く。
ライトは美しく弧を描いて、今日の日付や場所のデータ等を記した。多分、今日売っていたTシャツのプリントと同じデザインの文字。
そして、最初の音が鳴る。

「White Surf style 5.」!!

一瞬でトリ肌が立った。そして同時に大歓声が上がった。
更に、まばゆい光と共に、幕がゆっくり左右に開いた。
真ん中にナカコー、左にミキちゃん、右にジュンジ、そして奥にコーダイ。

そしてその音で、私の記憶は一気に2001年の苗場に飛んだ。
フジロック@RED MARQUEE。
あー、この曲で、私の音に対する気持ちが解き放たれたんだよなあ。
そう思った瞬間に、涙がボロボロッと流れた。
私の音楽の歴史の中でもターニングポイントになったこの曲を、もう、こうして生で聴くことはないんだ…と思った途端、更に泣けてきてしまった。頭の中で何かがパーン!とはじけたブレイク、その瞬間。SUPERCARに対して、感謝の気持ちでいっぱいになった。こうして、また最後に聴かせてもらえる機会を設けてくれたことにも。

■続けて、楽しげなリズムが聞こえてきた。「FAIRWAY」。この時点で、「karma」〜「FAIRWAY」を続けて聴きたい、という私の最後の夢のうちのひとつはもろくも崩れ去る(苦笑) まあ、しょうがないか。あとで「karma」やってくれればいいんだけど。
それにしても、前にやっていた時よりもピッチが緩い。そして、初めてこの曲をライブで聴いた時みたいな拙さ。ははは、ヘッタクソだなあ、ほんと(笑) 7年もバンド続けて、この程度のテクってところがほんと笑える。そして、いとしいなあ。今は無き新宿リキッドのビル7階までの階段が、なんだかんだで恋しがられているように、アバタだってエクボのように思えてしまうとはまさにこのことか。
次には1st『スリーアウトチェンジ』から「My Way」! 最近、『スリーアウト〜』ばかりを聴いていたので耳馴染みがいい。ただし歌詞は適当英語。ちょこっと苦笑い。

■そしてその曲は突然きた。やさしいギターのフレーズが流れ、途端にまたもや大歓声があがった。
「PLANET」。これが聴きたい、という最後の夢のいっこが叶った。
音が、言葉が、耳に、心に、身体に、染み込んでくるようだった。
でも、この日にこの詞は、染みすぎた。詞が持つ喪失感が、こんなにもリアリティを持って迫ってくるんだ、無理はない。
だけれど、メロディーは本当に美しくて、優しくて。いい曲だよなあ。と、しんみりした。
しかも続けて「Love Forever」… 流れてくるイントロに、溶けそうになった。けれどこう歌われる、“ふたりの道にはふたつの意味が”。
残酷だなあ、と、ちょっとだけ思った。

■ライブは中盤に入り、比較的最近の曲を続けた。
「RECREATION」「WONDER WORD」「WARNING BELL」。このあたりは『ANSWER』ツアーを思い出すなあ… あのツアーは本当に素敵だった。もっと、あのライブをたくさんの人に見て欲しかったし、これからももっとたくさんの人に知って欲しかった。そういえば、いろいろな人にSUPERCARの音源を聴いてもらったけれど、殆どの人に喜んでもらったなあ。大抵は「こういう音なんだ!」って驚いてたような。残念ながら、ライブを見る機会はもう無いけれど、でも音源を聴いてもらうことならできる。
あー、ほんと、SUPERCARの音が好きなんだなあ、って、このあたりは考えていた。
そういえば、このあたりの最近の曲を演奏していた時は拙さが消えていたなあ。そういうものなのかな(笑)

「Strobolights」では一瞬ミキちゃんが歌につまって、え?泣いてるの? と思ったけど、実際には歌詞を間違っていただけだったとか(笑)、解散劇のゴタゴタから思うような悲壮感は舞台上からほとんど感じられなかった。ナカコーも、ジュンジ君も楽しそうにギターを弾いていた。4人のテンションはいつものライブのそれとほとんど差が無いように思えた。それは、裏を返せば、常に危ういバランスで、解散と背中併せみたいな状態でバンドを続けていたということなのかな、と思って、少ししんみりとした。
「YUMEGIWA LAST BOY」「Sunday People」と、思い出深く、大好きな曲が並ぶ。もうほんとうに、今こうして目の前に見える景色以外にも、いろいろなものがキラキラと浮かんでくるのだ。キラキラって、文字にするとチンプだなー(笑)でも本当だし。
「I need the sun」では、今はもう会わなくなってしまった友人のことを思い出していた。“何だっていい、夢中になれたらそれですべて。”“安心していい、舞台は今からつくればいい。”いつでも不安がってたその友達は、そう言いながら自らを奮い立たせてたっけなあ… 今ごろ、どうしているんだろう。曲の途中、ギターのチューニングがめちゃくちゃに狂って、なんだか少し笑いたい気分にもなった。
しかも更に続くは懐かしいギターのフレーズ、「Lucky」。前回のツアーで、オリジナルのアレンジで演奏された時は不意打ちに泣いてしまったけど、今回はまるで思い出話を聞いてるような気分で聴けた。この2曲で思い出す人は同じ友達。全くの偶然で続けて演奏されたことに、嬉しいような、恥ずかしいような、微妙な気分になった。

■あー、どの曲にもなんてたくさんの思い出があるんだろう。
SUPERCARの曲に全身を包まれて、いろいろなことが思い出された。
それだけ、ずっと自分の近くに在ったってことだ。
嬉しいことに、会場の音響もなかなかのものだった。
そして、ここまでで盛り上がる曲も何曲か、懐かしい曲もたくさんあったのに、私の予想をいい意味で全く裏切り、苛々してしまうような歓声や奇声もなく、埋め尽くされたたくさんのお客さんもステージ上から繰り出される音楽に心地よく身を任せていたように見えた。解散、っていう単語から放たれるネガティヴな空気は殆ど感じられず、舞台上ではいつも通りに演奏され、優しく音は流れ、フロアはいい雰囲気に包まれていた。
嬉しいなあ… 幸せだなあ、って何度も思った。SUPERCARの曲が大好きな人がこんなにたくさんいて、皆で楽しんでいるこの状況が本当に嬉しかった。
でも、これまでの状態とは決定的に違うものもあって… 
とても、静かなライブだなあ、って思った。歓声が全く上がらなかった、とかそういう意味ではなくて。衝動的にはなれず、たとえば身体が動かず(最後のほうで演奏された「karma」なんて象徴的で、普段だったら踊らずにはいられなかったのに、動けなかった)、そこからは先に見えるものは無くて、解散なんだなあ、って思った。
お葬式とか、同窓会とか…そんな感じだと思った。ミッシェルの解散ライブの時、「これはファンが落とし前をつけるためのものだ」って思ったのだけれど、それに近いなあと思った。自分にとってまばゆい記憶を振りかえるための場所を最後に用意してくれた。アルバムを開いて、過去の写真を見て、この頃はこんなだったよねえ、って、懐かしく思うような。
だから、「静かなライブ」って感じたんだろうな、と思った。

■大好きなリズムが流れた。コーダイの、「人力トランス」と言われたドラミング。わー!「Seven Front」だよー! 聴きたいけど、きっと聴けないだろうなあ…と思ってたからこれは本当に嬉しかった! 「Sunday People」のカップリングのこの曲、とにかくライブでやたらと盛り上がる曲だった。
♪ok、君をためしてんだった♪ の後、ジュンジ君にスポットライトが当たって、ハイジャンプ!「ジャーン!!」 うわっ!決まったー!!(笑) うわあ、もう、これ見れただけでチケ代の元とれたくらいに嬉しい(笑) 解散ライブ、なんてことはすっかりこのあたり忘れてて、とにかくひたすら楽しかった。こんな気持ちになれるなんて、嬉しい誤算だ! 2回目もバッチリ決まった。もうひたすらニヤけてしまった。

■そして、多分この日一番の大歓声があがったイントロ、「cream soda」、続けてベースのイントロでまた大歓声、「Hello」。もうこのあたりは感傷よりも愛しさのほうがはるかに勝っていて。「Free Your Soul」「STORYWRITER」あたりが続くと、新旧のライブの定番って感じでそりゃあ会場はいい感じに盛り上がってた。
そして、何度も何度も聴いたギターのフレーズが聞こえてきた。「Karma」だ! やったあ!!聴けた!! 心の中でガッツポーズ。気持ちよくループするフレーズ。この曲を聴くといつも、永遠に続けばいいのになあ…って思ってたっけ。それは今回も同じで。ひょっとして、このまま終わらないんじゃないのかな?とも一瞬だけ思ったけれど、でも、この曲があると、終末が近いんだなあ、ってのも無意識のうちに悟っていて。
そして、10分近くの永遠が途絶え、それまでのデジタルなリフレインとは対照的な、アコースティックなギターの音色が聞こえて来た。軽くチューニング程度に弦に触れる。
そして、その音が作るリフが流れてきた瞬間、これで最後だ、ってのを悟った。

「TRIP SKY」


淡々と、でも、しっかりと刻み込まれる音。
身動きひとつできずに聞き入った。
最後のサビが終わり、また、ギターのリフが繰り返される。
その後のアウトロで、ナカコーは掻き毟るようにギターを弾いていた。(後で知ったのだけれど、弦を引き千切りながら弾いていたらしい)
ジュンジ君も身体を縮めて轟音を奏でる。
いつもとかわらない様子でミキちゃんが淡々とベースを、
そして、何か言い聞かせるかのような風情でコーダイがドラムを叩く。

音の中、まず楽器を置いたのは、ナカコーだった。
フロアに軽く手を挙げ、下手に去った。
次に、ミキちゃんがそれに続いた。
まだ、ジュンジ君はギターを弾いている。
そんなジュンジ君に背を向けて、コーダイもドラムセットから立ち上がった。

その光景はあまりに突然目の前に現れて、
それは見続けるには辛すぎた。
そして最後にジュンジ君がフィードバックノイズを鳴らしながら、ついにその場を離れた。

耳を突く音の甲高さ以上に、心臓がミシミシと軋む音だった。
青いリアリティを見せ続けたSUPERCARの、
お終いらしいといえばらしかった。
でもそれはあまりに残酷で、
でもやっぱり、美しかった。



やっぱり、私は言葉に詰まってしまった。


それでも、こうしてこの文章を書きながら思うのは、
これから先を進むためには、この夜はあってよかったんだ、ということ。
緩いエンドマークなら先に進めない。
残酷さも優しさなのかもしれない、と思うのは、大人になったってことだろうか。



4人が去ったフロアには「LAST SCENE」がSEとして流れていた。
「ジ・エンドを素通りしたステージ」
「夢のようなストーリー」
「消えてしまったストーリー」
「静かに 静かに ただ静かに 夢を見ている」


あまりにこの場にぴったりだと思った。
なんとなく、最初から最後までが夢だったのかもしれないなあ、
とさえ思えた。



外に出たら、来た時には「SOULD OUT!」と書かれていた看板が「THANK YOU SUPERCAR!!」と書き換えられていた。
暗闇に光って浮かび上がるその看板を見ていたら、なんだかまるで映画のエンドロールを見ている気分になってきた。
そして、見せてもらってたんだなあ、って思った。
全く偽りの無い文字だった。
さらに継ぐ言葉なんてもう無かった。




<SET LIST>
01 White Surf style 5.
02 FAIRWAY
03 My Way
04 PLANET
05 Love Forever
06 RECREATION
07 WONDER WORD
08 WARNING BELL
09 Strobolights
10 YUMEGIWA LAST BOY
11 Sunday People
12 I need the sun
13 Lucky
14 Easy Way Out
15 Seven Front
16 cream soda
17 Hello
18 Free Your Soul
19 STORYWRITER
20 Karma
21 TRIP SKY

〜closing SE〜
LAST SCENE


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SUPERCAR解散によせて。
■2005年1月18日、SUPERCARが解散を発表しました。
いつかは来る日だとは思っていたけれど、
まだ、実感がわかないのが正直なところです。

■私がどれだけSUPERCARの音楽を愛していたかを知る何人かの友人からは
「大丈夫?」というような連絡を頂き。
SUPERCAR解散→るびは大丈夫かな? と連想していただけるなんて
この上なく光栄であります(笑)

■大丈夫か?と言われると、正直そんなに落ち込んでいないのです。
でも深く考えていないだけで、これからじわじわ来るんだろうなあ…
自分の気持ちを確認するためにも、この文章を書いています。


■第一報は当日の13時少し前。Bさんからのメールでした。
ちょうど仕事のお昼休憩に出た直後に届いたメールで、
開くと事実がひとことだけ書かれていて、
その瞬間、時間が止まったように感じました。
まわりの時間も、そして自分の中の時間や
血とか筋肉とかそういうものの動きもすべて止まったように感じた。
考えるより早くBさんに折り返し電話を入れて、詳しく教えてもらいました。
何か頭の中に浮かぶというより、頭の中が真っ白になりました。
落ち込む、とか、ショック、というより、無になる感じ。


■ちょうど2年くらい前に、DCPRGの菊地さん発の「スパカ解散」デマが出回って
(菊地日記にSUPERCARの名前が出た時に「解散なんですってね、お疲れ様でした」
 と追記され、大騒ぎになったものの、当時から解散の噂があったスパカのそれを
 知人からおそらくうわの空で聞いて、その噂が脳内で事実に変換されてしまい
 うっかり日記に書いてしまったためと後日判明。)
その菊地日記のそれを見た瞬間は本当に心臓が止まったかと思うくらいに驚いて。
それから心臓がバクバクいい出して、涙が出てきて…と、
そりゃもう酷く動揺したもんだったんだが、
どうやらその時に「スパカ解散」で使う分の動揺は使い果たし、
「いやあいつきてもおかしくないんだ」と逆に心構えができたせいか
思ったより淡々と、第一報からの数時間を過ごした。
まあ、聞いた後にも仕事をしていた、というのが一番大きいとは思うのだけれど。

■でも、仕事を終えて駅までの道のりをぼんやりとひとり歩き出した途端、
理性ではなく感情の部分で、ぶわーっと突然涙が溢れてきた。
頭では何も考えちゃいないんだけど、感性の部分が勝手に泣き出した感じだった。
ああ、終わっちゃうんだなあ、と思った。


■SUPERCARとの最初の出会いは、実は覚えていない(笑)
名前を知ったのはたしかJAPANの誌上だったような…若いなあと思った記憶が(笑)
 スリーアウトチェンジ
話題を呼んだ「スリーアウトチェンジ」も普通に聴いていて、
汚れの無いポップだなあ…まぶしいなあ、と。
正直なところ、ファーストだけでハマるには、私は少し年をとっていた。
少しヒネたものや、狂気を感じさせる音のほうが好きだったのだ。

■そんな私の意識が一気に彼らに近づいたのは、一枚のシングルからだった。
「Sunday People」。
 Sunday People
この気持ち良さはなんだ? 気持ちにピッタリくるのはなんだ?
相変わらず私にとっては汚れのない存在だったけれど、
この1曲でそれだけではなくなった。
そして、その次にリリースされたアルバムで、私はまさしく運命の出会いをする。
『JUMP UP』。
 JUMP UP
こんなにも、心がひきこまれるように、よりそうように感じたアルバムは初めてだった。
その音はどこまでも私にやさしくて、
そして彼らを私にとって特別なものにするのには十分だった。
このアルバムは今でも私にとってとても大切な音楽のひとつで、
心がささくれた夜にはそのとげとげしさを取り除いてくれている。
何度、やさしくしてもらったか、わからない。


■そしてそれだけではなかった。
SUPERCARは私に、新しい音楽の楽しみ方を教えてくれたのだ。
それは私にとって革命と言うべきくらいのもので、
おそらくSUPERCAR(とナンバーガール)に出会わなかったら
その後の音の好みは全く違ったものになっていたと思う。

■2000年11月22日、アルバム『Futurama』をリリース。
 Futurama
このアルバムはそれまでのSUPERCAR観や、思い込みなどを引っくり返すものになった。
特に10曲目の「Karma」から11曲目の「FAIRWAY」への流れ、
それをよく私は“20世紀最後の奇跡”と呼んだけれど、かなり本気でそう思っていた。
そしてそのアルバムツアーで、彼らはそれまでの持ち曲を一切鳴らさず、
曲と同調する映像を背景に流しながら、
本編を『Futurama』の16曲だけで構成するという賭けに出た。
その賭けは後から考えてみれば特大の当たりで、
アンコール1曲目で披露された初期の代表曲「Cream Soda」との落差が
後日喧喧諤諤の賛否両論を招いたのも無理はないくらいの「当たり」だった。
その覚醒は私にとっては目からウロコで、
言ってみればハロが突然ガンダムになってしまたくらいの驚きだった。
その変化は私にとって嬉しく楽しいもので、
そして、その後もまだ「革命」は続いたのでした。

■2001年5月にリリースされたシングル「Strobolights」。
 Strobolights
この曲はもう、まさしく青天の霹靂(意味はちょっと違うけど)だった。
「言葉」が音楽のひとつとして機能してたのだ。
それまではどちらかというと頼りなげな歌を披露していたフルカワミキが、
神々しいまでの母性を手に入れて、
まるで雲の切れ間から差し込む光のように、やわらかに歌った。

2愛+4愛+2愛+4愛-sunset+4愛+2愛+4愛+2愛+4愛+2愛+4愛-sunset
4愛+2愛+4愛+2愛+4愛+2愛+4愛-sunset+4愛+2愛+4愛+2愛=true heart!


歌詞カードにはこう書かれていた。
吃驚した。
でも、その言葉は音に乗った途端にまるで魔法のように響いた。
うわー。なんじゃこりゃーー。ありえねーーー!!!!
と、笑いが止まらなくなった。
この曲をはじめて聴いた時のショックと歓びは忘れられないなあ。
言葉が意味を持ちながら楽器のようにもなるなんて!
歌にとっての詞=メッセージ、としか解釈できなかった私にとっては
そりゃあ天変地異並みの驚きだったのだ。

■そして、あれは忘れもしない、私にとって初めてのフジロックだった2001年、その2日目。
ナンバーガール@GREENを終えて、猛ダッシュで向かったRED MARQUEE。
そこで聴いた「White Surf style 5.」が、
私の価値観をいい意味でぶっ壊してくれたのでした。
以下はその時のレポより。

スーパーカーの音は決して力ずくで連れていくって感じじゃない。音にヤられて動けないって感じでもない。そうじゃなくてあの独特のフワッとしていてでも確かな音、その上でもっと踊れ!って伝わってくるような音なんです。それが最大限に発揮された瞬間が「White Surf 〜」のブレイクの時に見えました。感じました。アタマの中でパーンと何かが割れたんです。スーパーカーの音と、みんなの歓声と共に。
それは、今まで私が持っていた音に対する価値観みたいなものが壊れた音かもしれない。考えるものじゃない、感じるものなんだよ、って。
…というのは後になって考えたことで、その時の私はただただひたすら踊っていただけなんですけど(笑)


この時は本当に、頭の中で何かが割れた音が聞こえたんだよね。よく覚えてます。
“音は聴くものじゃなくて感じるもの”と、この時初めて身をもって感じたのでした。

■そして、更なる決定打が、その年の冬にあったEXTRA TOUR。
2Daysの二日目に、またしても生まれて初めての感覚を体験したのでした。
以下はその時の日記より。

今日 生まれて初めての体験をしました

「身体がリズムになる」という感覚です

アタマとカラダがまったく別物になりました
リズムに反応して体が勝手に動くのです
アタマで違うこと考えてても
「あ 私の身体がリズムと一緒に脈打ってる」
って感じでガンガン動くのです
よく作家さんとかが
「自分が作ったキャラなのに勝手に動き出して…」
なんて言うけれど あれに近い!
「自分のもの」というよりむしろ「自分」なのに
それがもう「個」として動いてるんです!
うーん
なんて言ったらわかるかな〜♪
うまく言えないあの感じ〜♪
そうだ!

「『私』が『音楽』と一体化した」

って感じかしら!


ムリヤリ文字にするなら、
「耳ではなくて体で音楽を聴いた」という感じかなあ。
この日の興奮も、昨日のことのように覚えてます。
「Karma」で踊って首振りすぎて、つりそうになったんだっけなあ(笑)
音が本当に気持ち良くて、このまま永遠に続けばいいのに!と思いながら
壊れたおもちゃのように(笑)踊り続けたのでした。
「YUMEGIWA LAST BOY」なんて、誰も元の持ちパートじゃない楽器で演奏してて
ありえない!って思ったけれど、出てくる音がとにかく気持ち良くて、
そんなことは全然問題じゃなかった。
音とあんなにもひとつになれるなんて!
歌詞がなくてもこんなにも伝わるなんて!

■2001年のSUPERCARは、こんなにも私の価値観を気持ち良く壊してくれた。

■そして2002年4月にリリースされたアルバム『HIGHVISION』。
 HIGHVISION
その、音の美しさに、涙がこぼれた。
私は音をいろいろな言葉を使って表現しようと試みるけれど、
「美しい」と表現したのは、SUPERCARだけのはず。
そのアルバムツアーも、そんな美しさに満ちていて。
以下はその時の日記より。

そしてこの日も「STARLINE」からスタート
ひとすじの照明が静かに舞台を照らします
そして サビの部分に来た瞬間
わずかな照明だけだった舞台が突如 昼のような明るさを帯びました
「どうして」なんて理由はありません
ただそれだけで涙が出てきました
美しい音が美しい光とともにそこにありました

この2日間で個人的に最大のクライマックスだったのは
この最終日の「AOHARU YOUTH」でした
ピアノの旋律と ナカコーとミキちゃんの声
青白く降り注ぐ光はまるで この世のものとは思えませんでした
心臓が静かに音をたてて
鼓動もリズムに合わせて鳴っていたような気がしました
「天国ってこんな場所かもしれない」とさえ思いました
身体が震えました

ライブの最後を飾ったのは前日同様
アルバムでも最後の曲「SILENT YARITORI」
15分にも及ぶそれはとても幻想的で
音がしているのにまるで音が無いような
静寂が音に変化したような
そんな空気の中
私は動くことも出来ずにじっと聴いていました
曲の終わりと共にライブも終わりを告げ
静かにメンバーが舞台から去り
ステージを照らしていた光が消えると
暗転の中「I」がSEとして流れ出しました
メンバーが去ったとき
アンコールを求めて拍手をしていたお客さんも手を止め
動きもせずに音を聴いていました
暗転していた場内が
少しずつ 少しずつ 明るくなっていきました
それはまるで夜明けのようでした
舞台を見たら 天井の小さな照明が
まるで星のようにまたたいていました
その「星」も「夜明け」の明るさに消えていきました

あまりのせつなさに涙がこぼれそうでした。


音がしているのにまるで音が無いような
静寂が音に変化したような。
そんな経験は、その後もできていません。


■気持ちいい、とか、優しい、とか、美しい、とか、
言葉にするととても簡単なように思えてしまうけれど、
聴いていて全身の力がぬけてゆくような、
自分の部屋のベッドのおふとんにくるまって眠りに落ちる瞬間のような、
安心しきって心のガードがゆるくなった、そんな気持ちにさせてくれる音だった。
そして、そんな音を出してくれるのはSUPERCARの他にはなかった。
唯一無二の存在になった。


■そしておそらく、CDを一番聴いたのが、SUPERCARだと思う。
レコードで言うところの「すりきれる」くらいに、聴いた。
だから、シングル「BGM」以降のリリースがCCCDになったのは、本当に悲しかった。
けれど、友人の好意によって、アナログの音源を貰い、
2004年2月にリリースされたアルバム『ANSWER』は聴くことができた。
本当に嬉しかった。
そのアルバムは、店頭で試聴した時から泣けてしまったのだけれど、
そのツアーもまた然りで。

以下はその時のレポより。

今回のこの「YUMEGIWA LAST BOY」では、
「音の中に自分が溶ける」という感覚を得ました。
もう音を聴いている、というよりは、音の中に居る感覚。
むしろ自分が音の一部になっているような… だったらどんなに幸せだろう。
その音を対象として何かを感じる、というよりも
もう考えるなんていう概念も無くなってしまってる状態だった。
(略)
現実なのに、夢をみているような気分だった。
こんなにゆるやかで、やさしくて、美しい、やわらかな何かに包まれたような時間が
現実として存在してるなんて。
意識を通らず、感覚として身体が泣いているのを感じた。
最後の音が消え、メンバーがステージから去り、
場内が明るくなりかけてSEとしての音が流れてもその場からしばらく動けなかった。
頭の芯までふにゃーっと崩れていたようだった。



本当に、SUPERCARの音が大好きだ、と、いつも思っていた。



■だけど、その音がとてもあやういバランスの上に成り立っていることは薄々気づいていたし、
長く続くバンドではないというのは無意識のうちに理解していた。
特に『HIGHVISION』以降は
“いつ終わってもおかしくない”という気持ちと背中合わせだったように思う。
そして、『ANSWER』や「LAST SCENE」というタイトルの作品が出たり、
『ANSWER』ツアーが終わった後のフジロックが必要以上に(と感じた)お祭りムードだったり、
いつもあるSUPERCAR企画のイベント「High Booster」が去年は無かったり…

今から考えれば、予兆はいくらでもあったのだ。


■私がライブレポを書く時は、
まずライブを見ていると頭の中に絵が浮かんできて、
その絵を文字に訳しているようなところがある。
SUPERCARはその絵がいつも鮮やかで、文字の起こし甲斐があるものを見せてくれた。
最初の頃は(ライブだけではなく音源も含めて)ポップな絵だったのが、
あれよあれよと言う間に目を引く映像になり、
いつしかそれは単なる絵というよりも3Dのように変化をしていった感じがある。
それは本当に美しくて、綺麗で、まぶしくて、素敵なものだった。
リアルタイムで聴くことができて、本当に幸せでした。
絵は、私の中では完成品にとても近いものになっていると思います。
だから、今回の解散にもさほど抵抗はない。
でも、いつかは来ると思ってはいても、
それでももうちょっと、またもうちょっと、
もう少し、あと1枚描いてくれるかな? と、かすかな期待、奇跡を望んでた。



■解散が発表になった夜、最新作からさかのぼってアルバムを聴いていた。
不思議とそれでも実感はわかなかった。
だってそれは私にとって日常で、おそらく今後も変わることはない。
彼らが解散したって、私がこの音を聴くことには変化はないのだ。
ただ、新しい音がもう聴けないということや、
それを楽しみにするということがなくなるだけ。
だから、解散するということに対して、まだ深い何かを感じ取れないのかもしれない。
今は、静かな気持ちの中に居る。


■おそらく、私が深い寂しさに襲われるとするなら、
ラストライブを見た時か、または終わった後だろうと思う。
あの、全身で感じたたくさんの新しい感覚が今後はもう無い。
それに、身体で気づく時だと思う。



たくさんの新しいことを、ありがとう。
伝えられるものならば、そう伝えたい。

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「Tour 2004 -ANSWER-」
★SUPERCAR@SHIBUYA AX

■「ANSWER」レコ発ツアー、東京3日間全て観たのですが
改めて、一番記憶に鮮やかな初日の感想文を。

■とにかくSUPERCARの音を待ち焦がれていた。
ライブ自体は去年の11月以来半年ぶりだったけれど、
なにせ去年のライブはその自主イベントだけで、アルバムのリリースもなし。
ワンマンは一昨年の5月以来、まる2年ぶりだったのだ。本当にこの日を待ってた。
残念なことに今回のアルバムはCCCDでのリリースで、
その意味に異議を持つ私としてはそれこそ断腸の思いで購入を見送ったのだけれど
試聴をしたそのアルバムは予想以上に素晴らしくて本気で泣けてきたのでした。
SUPERCARの好きなところのひとつにメロディの美しさというのがあるのだけど
その、神々しいまでの美しさがそこかしこに溢れていて。
これはライブが楽しみだなあ…と思いを巡らせてみたり。
そして、ありがたいことにアルバムはアナログでリリースされ、
我が友人のHちんがその音源を私にプレゼントしてくれたのだ!
本当に、本当に嬉しかった!感謝してもし足りないくらい!
Hちんのおかげでライブ前に繰り返し新譜の音を堪能することが出来ました。
この場を借りて、心からの感謝にかえさせて頂きます。
(もちろんお礼はきっちりさせていただくからね!(笑))
あまりの嬉しさと改めて音の素晴らしさを感じて
実は泣きながら頂いた音源を聴いていたということをここに恥ずかしながら打ち明けさせて頂きます(笑)

■追加公演である初日の席はAXの2階席。
普段SUPERCARではとにかくひたすら踊りまくる私なのだけれども
(その昔頭振って踊りすぎて首がつったことがあり)
今回のアルバムを聴く感じでは踊るよりも聴き入る感じかもしれないな…と思い
ゆったり座って観られる2階席にしてみた。1階に行きたくなったら降りればいいし。
先に言ってしまえばこれは大正解だった。とても音に集中して聴けたのだ。
前にさえぎるものがなくて、
目の前に広がるのはSUPERCARの音と音にあわせたVJの映像。
2時間ものあいだ、私はこの空間でまるでひとりきりのような気持ちになれたのだ。

■ライブはほぼ定刻の19時半に開演。
暗転したステージから響くひとすじの音…
1曲目はアルバムでも冒頭を飾る「FREE HAND」だった。
ここからはじめの2曲ほどはAX特有の音の歪みを感じたりもしたのだけれど、
それもいつしか気にならなくなってゆく。
四つ打ちのリズムの中から聞こえてきた、ナカコーの声。
これからこの声がうたう歌がたくさん聴けるんだ、と思うとドキドキしてきた。
世間では歌がウマイ人というと声量がある人とかを指す事が多いけれど、
私はナカコーのような歌声のことを言うんだと思っている。
その音の中にいるとどこまでも幸せな気分になれるんだ。
そして曲の終わりぎわにステージ後方の幕が左右に開き、
2曲目の「JUSTICE BLACK」が始まると同時にまばゆく映像が映し出された。
今回のアルバムのADを勤めている田名網敬一氏のイラストレーションを基にした映像。
ベースラインと共に黒い波の映像が浮かび上がった瞬間、
やわらかな音が強靭な強さを携えたように思えた。ドキリとした。

■2曲目までがアルバムと同じ曲順だから、なんとなく勝手にそう思って
油断(本当はこういう言葉じゃない気がするけど今はこれが一番近い気がする)していたのかもしれない。
次に聞こえて来たドラムの音を聴いても一瞬何の曲かはすぐに浮かばなかった。
でもギターの音が聞こえて来た瞬間に、まるで頭上で何かが光ったような気がした、
「Sunday People」。
その一瞬、胸に扉がもしあったとしたら、そこが開いて、
感情というもの全てがその音の中に溶け込んでいったかのようだった。
もうすでにこの瞬間に終わってもいいとさえ思えた、気が早過ぎる(笑)
彼らのファーストアルバム『スリーアウトチェンジ』も好きではあったけれど
特別好きだと思うにはいまひとつ何かが足りなかった私にとって
この「Sunday People」がSUPERCARを特別なバンドにした最初の一歩だった。
(そしてこの曲が入ったアルバム『JUMP UP』は人生の10枚のうちの一枚になっている)
ROVO以前に音の中に宇宙を感じたのはこの曲が初めてだった。
(まああのスペイシーなジャケットのイメージもあるといえばあるかもな)
♪うそで守ったままだった。… の所以降にそれを特に感じる。
ミキちゃんのコーラスで♪トゥトゥトゥールルルル〜♪のあたりとか
まるで宇宙遊泳をしているかのような気持ちになれる音。
そういえば初めてこの曲をライブで聴いた時はどこか拙い宇宙遊泳という感じで
小さなロケットに乗せられた人類初の第一歩、という雰囲気があったのだけれど
今回聴くこれは堂々とした大きな宇宙船での星間遊覧という感じだった。
すごいなあ。どんどんSUPERCARは大きくなっていくよー。

■「SUNSHINE FAIRYLAND」を経て今日の初MC。
驚いたのは今回初めてMCでジュンジくんがしゃべったこと!
右側にスポットライトが当たって声が聞こえて来た瞬間、自分の耳を疑って
また立ち位置が変わってたのか?と思った(笑)
(SUPERCARはツアーごとに変わったりするので。
 ちなみに私は目が悪い&座席の位置の関係上ので、
 ステージ上のメンバーの顔とかがほとんど見えていなかったのでした)
でもお客さんは誰も騒いでないなあ…やっぱり見間違い?と思ったのだけど
その後コーダイのMCで「初めてジュンジ君が喋ったんですよ!?意外と驚かないですね」
みたいなことを言ってたのでやっぱりそうだよね、と思い直しました(笑)
驚きが聞こえなかったのは、お客さんがだいぶ入れ替わったか、
または昔からのファンの人はもう社会人が多いから平日のこの公演には来られなかったか、
というところでしょうか。

■「BGM」「HARMONY」でゆっくりゆるやかに音が流れる。
夜中に部屋で聴くのもいいのだけれど、
こういう広い空間で音に包まれるような聴き方は
もっと音の奥行きを感じられて良い。

■そしてそれは耳に飛びこんできた。
「Lucky」のイントロダクション、まさしく青いギターポップ。
条件反射で胸が締め付けられるようにギューッとなって震えた。
何年か前にもライブで久しぶりに「Lucky」を披露したことがあったのだけれど
『スリーアウトチェンジ』の頃とあまりに変化し広がった音の世界にあわせて
「Lucky」もリアレンジされて別の曲のようになっていたのでした。
(もちろんもとのメロディが良いのでそれでも全く問題なし、素晴らしかった)
でも今回はまさかのオリジナルアレンジでの演奏だった。
最近の曲の中に在ったら浮いてしまわないのか?ということなど考えなかった。
以前にも書いたことがあるけれど、
どんなに表現方法が変化して、
「YUMEGIWA LAST BOY」のようにメンバーが全員元の担当楽器を誰も持たなくなったりしても
SUPERCARの曲はメロディが素晴らしく美しいという共通点がずっとあるから普遍のものなのです。
とはいってもやっぱりSUPERCARの世界は懐が広くなったと思う。
以前『Futurama』レコ発ツアーにて、本編の曲を『Futurama』だけにして完璧な世界を作り上げ
そのアンコールで「cream soda」(『スリーアウトチェンジ』の1曲目、最初の最初の曲)をやった時
その世界にあまりの落差が生じてしまったためファンの間でも賛否両論(否多め)だったことがあったんだけど
今回はまったくそんなことがなく、『ANSWER』の中に溶け込んでいた。

■そしてこの曲「Lucky」は問答無用に私の胸を刺す曲で。
ライブの感想から逸れるけれど、だって、思い出がたくさんありすぎるのだ。
何から何まで、好きな、という言葉では簡単に片付けられないくらいに大切な曲。
その曲とともに過ごした時間に私を刺したフレーズが響いた。

  それでもいつか、少しの私らしさとかやさしさだけが残ればまだラッキーなのにね。
  今はどうしても言葉につまるから――ヒキョウなだけでしょう?
  それで、大人になれるならつらいだけだよ…。

隣の人に聞こえないように声を殺して泣いた、
というよりも涙が止まらなくなってしまった。
優しすぎるメロディが私を包んだ。
あの頃に比べて、少しは大人になれただろうか。

■中盤はさらに音に溶けるような時間が待ってた。
「WONDER WORD」で音の残像に心を揺らし、
「HIRAMEKI INSPIRATION」では音が光の破片になってきらめきながら散らばった。
そして「Free Your Soul」。
光の中の階段を上るような鍵盤の音が聞こえてきて、
そして神々しいまでのミキちゃんの声。
まさしくその名のとおり、こころを解き放たれたような感覚。
そういう感覚はSUPERCARを見ているときよく感じるのだけれど
まるで身体のすみずみ、細胞のひとつひとつまでが浄化されていくような
そんな気持ちになるのです。

■そしてMCで、今回のサポートメンバーである七尾旅人くんが紹介される。
ツアー前、旅人色がSUPERCARに入ることに遺憾の意を示していた人も少なくなかったのだけれど
いざ始まってみたら全くの杞憂で、むしろひとり加わってることなど忘れるくらいだった。
それは仕事をしてないということじゃなくて、自然という意味で。
(まあ確かに何もしない曲のときは鳥を飛ばしたりしてたのだけども・笑)
なにせ彼は“どうして自分はSUPERCARのメンバーじゃなかったんだろう”と言うくらいに
SUPERCARのファンなわけで。
自分が参加してSUPERCARの音に貢献できるってものすごく気分がいいだろうなあ。
本気でうらやましかった(笑)
私もミュージシャンになって同じステージに立ってみたい!第5のSUPERCARになってみたい!
と本気で考えてみたりもした(笑)

■そしてそこから先は、まさに目くるめくような時間だった。
久し振りの「Love Forever」(3年半ぶりくらい?!)、
原曲よりもさらにキーをあげたその曲は、さらに心をやさしく包んで広がった。
こんなに広い会場なのに、すぐ近くから歌が聞こえてくるようだった。
身体は全く動けないのに、心は震えてしょうがなかった。
そして煌く時間は続く、
そしてイントロが聞こえた瞬間に歓声が上がった「Strobolights」。
記号のような呪文のような歌詞が持つ意味など超えて
ミキちゃんの声と共にひとつの音楽として鳴る。
メロディに合わせた歌詞や音を活かす言葉、とかはよくあるけれど、
この曲は音と言葉が一体化してる。数分間の奇跡。
曲の端の端までが光に満ちて輝いてるように思えた。
そして間髪入れずに音の波が場を揺らす、
「YUMEGIWA LAST BOY」、またもや大歓声があがる。
以前、SUPERCARのライブ中に
「身体がリズムになる」というのを初めて感じたことがあって
その時のことを私はこう書いていて。

  アタマとカラダがまったく別物になりました
  リズムに反応して体が勝手に動くのです
  アタマで違うこと考えてても
  「あ 私の身体がリズムと一緒に脈打ってる」
  って感じでガンガン動くのです
  (中略)
  「自分のもの」というよりむしろ「自分」なのに
  それがもう「個」として動いてるんです!

でも今回のこの「YUMEGIWA LAST BOY」では、
「音の中に自分が溶ける」という感覚を得ました。
もう音を聴いている、というよりは、音の中に居る感覚。
むしろ自分が音の一部になっているような… だったらどんなに幸せだろう。
その音を対象として何かを感じる、というよりも
もう考えるなんていう概念も無くなってしまってる状態だった。

■そして三回目のMCコーナー。
コーダイの脱力MC(笑)、そしてミキちゃんの
「SMショーへようこそ。今SUPERCARはこんなつかみどころないライブをやってます(笑)」というMCなど。
おそらく全く踊れない(事実この日はお客さんがびっくりするくらいに動かず静かだった)ことから
こう言ってるのだとは思うが、こんな気持ちのいいSMあるもんか(笑)
や、気持ちいいと思った時点でもうSMなのか!(爆)

■そしてライブは終盤クライマックスへ。
「WARNING BELL」では幻想的とまで言えるようなループにゆるみまくり、
そしておそらく踊るために用意されたと思われる「STORYWRITER」と「WHITE SURF style 5.」の並び、
でもそこまでの流れに圧倒されていたのかステージ前は驚くほど小さな動きだった(笑)
「WHITE SURF〜」は私にとってターニングポイントとなった曲、
そのまさにブレイクポイントではその時のことを思い出して鳥肌がたった。
そして同時に同じような気持ちにさせてくれる。
ずっと2階席に座ってむしろ全く動けていなかったのだけれど、
まるで空を飛んでいるような気持ちでいた。

■そして少しの間を置き、「LAST SCENE」。
昂ぶりに昂ぶった身体を、まさに歌詞のとおりに、
“静かに 静かに ただ静かに 夢を見ている”
現実なのに、夢をみているような気分だった。
こんなにゆるやかで、やさしくて、美しい、やわらかな何かに包まれたような時間が
現実として存在してるなんて。
意識を通らず、感覚として身体が泣いているのを感じた。
最後の音が消え、メンバーがステージから去り、
場内が明るくなりかけてSEとしての音が流れてもその場からしばらく動けなかった。
頭の芯までふにゃーっと崩れていたようだった。
2階席の多くの人がアンコールは無いと思ったのか
その場から動き始めていた時、ステージが照らされた。アンコール。
慌てて戻り出す2階席の人。
でもまだ私はぼんやりと深く座ったままだった。

■最後の曲はそこに現れるには意外なベースのイントロで始まった。「SIREN」。
これで終わるというのは正直言って予想外だったけれど、
同じフレーズを繰り返す低い音はいつしか深い夜に染まって行き、
その重さは最後に切り離して披露されるということがとても合ってると思えた。
ついさっき、「Lucky」のような音を出していたとは思えないほど重厚な余韻を残して
10分弱ほどのその曲は終わった。
以前、アンコールで10分以上の「BE」で終わったことがあって
その時も脳みそをグルグルにされる音に倒れそうになったのだけれど
それよりも更に先へ、進化…深化したんだなあと思った。

■完全に場内が明るくなった。
のろのろと時計を見たら、ちょうと2時間だった。
ときをわすれた。
メールが入り、別の場所で見ていたm姉と外で落ち合った。
まだどこかぼんやりして、m姉と会ってもうまく口がきけなくなっていた。
口を開いたらまた泣きそうだった。


<SET LIST>
1 FREE HAND
2 JUSTICE BLACK
3 Sunday People 
4 SUNSHINE FAIRYLAND 
(MC ジュンジ)
5 BGM 
6 HARMONY 
7 Lucky 
8 WONDER WORD
9 HIRAMEKI INSPIRATION
10 Free Your Soul
(MC コーダイ、ナカコー) 
11 DISCORD 
12 Love Forever  
13 RECREATION
14 Strobolights 
15 YUMEGIWA LAST BOY 
16 GOLDEN MASTER KEY 
(MC コーダイ、ミキ、ジュンジ) 
17 ROLLIN' ROLLIN' 
18 WARNING BELL 
19 STORYWRITER 
20 WHITE SURF style 5.
21 LAST SCENE
--
en1 SIREN



■ちなみに2日目は本編に「Jump」が加わったセットリスト、アンコールは無し。
個人的に位置取りを失敗して、前に背の高い人がたくさんいたせいか
うまく聞こえない音があったり映像がほどんど見えなかったりで
しかもこういう雰囲気のライブのため人がまったく動かず、
場所をあちこち移動することもできなかった。
囲まれたような状態だと、初日のように音に集中することが難しかったな。

■最終日はその教訓を踏まえて、ひな壇最前列の見晴らしのいい場所で参戦。
本編は少々順番が変わったものの内容は2日目と同じセットリスト。
なのだが前二日と異なって、元気なお客さんが多い日だった。前の方は大暴れ。
それに合わせたのか?アンコールに「FAIRWAY」初登場。
これでライブ、そしてツアーそのものが終わるのはとても合ってると思いました。
水飛沫が光を浴びてるようにはねる音、さすがに私も身体が動いた。
楽しく踊って至福の三日間が終わりました。
そして演奏が終わり、去り際最後の最後、ナカコーがひとこと
「次はフジロックで」
キャーーーー!!と叫んだのは言うまでもありません(笑)
幸せだ!!!




■私はSUPERCARの音に触れるたびに「なんて美しいんだろう」と思うのですが
もうそのひとことにつきてもしまうため、
なるべくその言葉を使わないように感想を書くことに挑戦してみました。
でも難しいな。なんだか意味不明な危ない文章ですみませんでした(笑)
ただ私がひたすら心ふるえたことが伝われば、幸いです。


(そのうちに5/23付けに異動します)



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