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「SUPERCAR」
★SUPERCAR@新木場STUDIO COAST



■実感がわかないまま当日を迎えた。
ナンバーガールラスト@札幌の時は、朝イチの飛行機で行かなくてはいけなかったから、朝ねぼうしたら大変だ!と前日から緊張感にみちあふれていたのだけれど、今回のライブは東京、その心配も無く、いつものように起きて、いつものように仕度をして。
でも、チケットを手にした時に身体がぶるっと震えた。そして高揚感が無い。いつもなら、今日はスーパーカーのライブだ、って思うと、文字通りウキウキしてしょうがないのだけれど、そういう気持ちはわいてこなかった。

■突然実感がわいたのは、会場の最寄駅である新木場駅の改札を出る直前だった。目の前に、チケットを譲って欲しい旨書かれたボードを持つ、たくさんの人、人、人。胸が痛い。ちょうど目の前に落ち合うことになっていたSくんがいて、チケットを渡そうとしたところ、彼がその場所でのやりとりに少しためらいを見せた。「狩られそうで怖い?(笑)」なんて冗談で言ったけれど、チケットを持っていない人達の気持ちを思うと、そうできないのは無理も無い。
駅を出て歩くこと2、3分、その道中にもたくさんのボード。海岸近くの所為か風が刺すように冷たかったけれど、冷たさを感じる理由はそんな外的要因だけじゃあない、と思った。

■まわりの風景とは異質な今日の会場・STUDIO COASTに着くと、会場入り口に今日の公演を知らせる看板が掲げられていた。そこには「SOULD OUT!」との文字。故意かどうかはわからない。でも、故意だとするならば、それはあまりにも切ない文字だった。
ちょうど会ったKさんと相方と3人で一緒にロッカーに荷物を詰め、寒空の下で震えながら入場を待った。皆コートはロッカーにしまい、Tシャツ姿。昔懐かしのTシャツから最近のものまで…まるでTシャツ博覧会。あのツアーはあんなだったなあ、とか、このツアーはあんなだったなあ、とか、Tシャツからひとつひとつ思いを馳せた。

■初めて入ったCOASTは、エントランスが真っ赤な内装にシャンデリアで驚いた(笑) そして物販を行っていたロビーを抜け、中に入ると…横長に広く、そして後方はせりあがるように高い。ひな壇というよりは、2階と言っても差し支えない高さ。縦に長い会場だと見るのに不便だけれど、こういう横長な会場ならその点少しはましだろう。
PAまわりを陣取りたかったのだけれど、なんとかなり段数のある階段のため、なだれ・将棋倒し防止のためか、この日は一切立ち止まることを禁止されていた。どうしよう…と、うろうろとしたけれど、背の低い私によさげなポイントは既に埋まっており。困ったなあ…と思っていたら、相方さんがかなりいいポイントを押さえててくれた。感謝。とても見晴らしがいい場所だった。結局そこからは見えないものが全く無く、私は最後まで全てを目に焼き付けることができたのでした。ありがとう。

■最後のライブで前のほうに行かなかったのは、懸念していたことがあったからだ。
前の方で見て、他のお客さんの熱気にやられて、ライブに集中できなかったらどうしよう、と思っていた。ライブを迎える数日前からそのことばかりが気になっていたんである。思い出したのは2004年のフジロック、ファンサービスかつ盛り上がりに徹したセットリストに、場内のムードは必要以上(と私は感じた)にヒートアップして、全く似合わないoiコールや手拍子に一気にテンションが下がってしまい、自分自身は全く楽しむことが出来なかったのだった。
それと、ナンバーガールラストツアーの最後からふたつめ、Zepp Tokyoでの思い出もあった。解散する、ということに対して過剰にセンチメンタルになってしまったお客さんが終始叫び、暴れ、肝心なステージ上のライブに対して実は意識がいっていないように思えてしまったのだった。別に醒めて見ろ、なんて言うわけじゃないのだけれど、私は最後だから演奏をしかと焼き付けたい。観衆の怒号を刻みたいわけじゃないのだ。
そして今回のライブは最後のライブ。少なくとも他者から見たら空中分解したように思えたバンドが最後にわざわざライブをするというのは、ファンに対してのサービスだろうと思った。ならば、セットリストもきっとそれに沿ったものを用意してくるに違いない。
そういった予想をひとまとめにすると、どうしても不安要素しか残らなかった(苦笑) 大好きだから、だからこそ、予防線を張ってしまっていたのかもしれない。

■17:00の開演予定時刻まではあっという間だった。
そして過ぎること幾許か、場内の照明は暗転した。
時計は17:16を指していた。

■PA後方からステージに向かって緑のレーザーライトが照らされた。
そこで初めて、舞台に緞帳が降りていたことに気付く。
ライトは美しく弧を描いて、今日の日付や場所のデータ等を記した。多分、今日売っていたTシャツのプリントと同じデザインの文字。
そして、最初の音が鳴る。

「White Surf style 5.」!!

一瞬でトリ肌が立った。そして同時に大歓声が上がった。
更に、まばゆい光と共に、幕がゆっくり左右に開いた。
真ん中にナカコー、左にミキちゃん、右にジュンジ、そして奥にコーダイ。

そしてその音で、私の記憶は一気に2001年の苗場に飛んだ。
フジロック@RED MARQUEE。
あー、この曲で、私の音に対する気持ちが解き放たれたんだよなあ。
そう思った瞬間に、涙がボロボロッと流れた。
私の音楽の歴史の中でもターニングポイントになったこの曲を、もう、こうして生で聴くことはないんだ…と思った途端、更に泣けてきてしまった。頭の中で何かがパーン!とはじけたブレイク、その瞬間。SUPERCARに対して、感謝の気持ちでいっぱいになった。こうして、また最後に聴かせてもらえる機会を設けてくれたことにも。

■続けて、楽しげなリズムが聞こえてきた。「FAIRWAY」。この時点で、「karma」〜「FAIRWAY」を続けて聴きたい、という私の最後の夢のうちのひとつはもろくも崩れ去る(苦笑) まあ、しょうがないか。あとで「karma」やってくれればいいんだけど。
それにしても、前にやっていた時よりもピッチが緩い。そして、初めてこの曲をライブで聴いた時みたいな拙さ。ははは、ヘッタクソだなあ、ほんと(笑) 7年もバンド続けて、この程度のテクってところがほんと笑える。そして、いとしいなあ。今は無き新宿リキッドのビル7階までの階段が、なんだかんだで恋しがられているように、アバタだってエクボのように思えてしまうとはまさにこのことか。
次には1st『スリーアウトチェンジ』から「My Way」! 最近、『スリーアウト〜』ばかりを聴いていたので耳馴染みがいい。ただし歌詞は適当英語。ちょこっと苦笑い。

■そしてその曲は突然きた。やさしいギターのフレーズが流れ、途端にまたもや大歓声があがった。
「PLANET」。これが聴きたい、という最後の夢のいっこが叶った。
音が、言葉が、耳に、心に、身体に、染み込んでくるようだった。
でも、この日にこの詞は、染みすぎた。詞が持つ喪失感が、こんなにもリアリティを持って迫ってくるんだ、無理はない。
だけれど、メロディーは本当に美しくて、優しくて。いい曲だよなあ。と、しんみりした。
しかも続けて「Love Forever」… 流れてくるイントロに、溶けそうになった。けれどこう歌われる、“ふたりの道にはふたつの意味が”。
残酷だなあ、と、ちょっとだけ思った。

■ライブは中盤に入り、比較的最近の曲を続けた。
「RECREATION」「WONDER WORD」「WARNING BELL」。このあたりは『ANSWER』ツアーを思い出すなあ… あのツアーは本当に素敵だった。もっと、あのライブをたくさんの人に見て欲しかったし、これからももっとたくさんの人に知って欲しかった。そういえば、いろいろな人にSUPERCARの音源を聴いてもらったけれど、殆どの人に喜んでもらったなあ。大抵は「こういう音なんだ!」って驚いてたような。残念ながら、ライブを見る機会はもう無いけれど、でも音源を聴いてもらうことならできる。
あー、ほんと、SUPERCARの音が好きなんだなあ、って、このあたりは考えていた。
そういえば、このあたりの最近の曲を演奏していた時は拙さが消えていたなあ。そういうものなのかな(笑)

「Strobolights」では一瞬ミキちゃんが歌につまって、え?泣いてるの? と思ったけど、実際には歌詞を間違っていただけだったとか(笑)、解散劇のゴタゴタから思うような悲壮感は舞台上からほとんど感じられなかった。ナカコーも、ジュンジ君も楽しそうにギターを弾いていた。4人のテンションはいつものライブのそれとほとんど差が無いように思えた。それは、裏を返せば、常に危ういバランスで、解散と背中併せみたいな状態でバンドを続けていたということなのかな、と思って、少ししんみりとした。
「YUMEGIWA LAST BOY」「Sunday People」と、思い出深く、大好きな曲が並ぶ。もうほんとうに、今こうして目の前に見える景色以外にも、いろいろなものがキラキラと浮かんでくるのだ。キラキラって、文字にするとチンプだなー(笑)でも本当だし。
「I need the sun」では、今はもう会わなくなってしまった友人のことを思い出していた。“何だっていい、夢中になれたらそれですべて。”“安心していい、舞台は今からつくればいい。”いつでも不安がってたその友達は、そう言いながら自らを奮い立たせてたっけなあ… 今ごろ、どうしているんだろう。曲の途中、ギターのチューニングがめちゃくちゃに狂って、なんだか少し笑いたい気分にもなった。
しかも更に続くは懐かしいギターのフレーズ、「Lucky」。前回のツアーで、オリジナルのアレンジで演奏された時は不意打ちに泣いてしまったけど、今回はまるで思い出話を聞いてるような気分で聴けた。この2曲で思い出す人は同じ友達。全くの偶然で続けて演奏されたことに、嬉しいような、恥ずかしいような、微妙な気分になった。

■あー、どの曲にもなんてたくさんの思い出があるんだろう。
SUPERCARの曲に全身を包まれて、いろいろなことが思い出された。
それだけ、ずっと自分の近くに在ったってことだ。
嬉しいことに、会場の音響もなかなかのものだった。
そして、ここまでで盛り上がる曲も何曲か、懐かしい曲もたくさんあったのに、私の予想をいい意味で全く裏切り、苛々してしまうような歓声や奇声もなく、埋め尽くされたたくさんのお客さんもステージ上から繰り出される音楽に心地よく身を任せていたように見えた。解散、っていう単語から放たれるネガティヴな空気は殆ど感じられず、舞台上ではいつも通りに演奏され、優しく音は流れ、フロアはいい雰囲気に包まれていた。
嬉しいなあ… 幸せだなあ、って何度も思った。SUPERCARの曲が大好きな人がこんなにたくさんいて、皆で楽しんでいるこの状況が本当に嬉しかった。
でも、これまでの状態とは決定的に違うものもあって… 
とても、静かなライブだなあ、って思った。歓声が全く上がらなかった、とかそういう意味ではなくて。衝動的にはなれず、たとえば身体が動かず(最後のほうで演奏された「karma」なんて象徴的で、普段だったら踊らずにはいられなかったのに、動けなかった)、そこからは先に見えるものは無くて、解散なんだなあ、って思った。
お葬式とか、同窓会とか…そんな感じだと思った。ミッシェルの解散ライブの時、「これはファンが落とし前をつけるためのものだ」って思ったのだけれど、それに近いなあと思った。自分にとってまばゆい記憶を振りかえるための場所を最後に用意してくれた。アルバムを開いて、過去の写真を見て、この頃はこんなだったよねえ、って、懐かしく思うような。
だから、「静かなライブ」って感じたんだろうな、と思った。

■大好きなリズムが流れた。コーダイの、「人力トランス」と言われたドラミング。わー!「Seven Front」だよー! 聴きたいけど、きっと聴けないだろうなあ…と思ってたからこれは本当に嬉しかった! 「Sunday People」のカップリングのこの曲、とにかくライブでやたらと盛り上がる曲だった。
♪ok、君をためしてんだった♪ の後、ジュンジ君にスポットライトが当たって、ハイジャンプ!「ジャーン!!」 うわっ!決まったー!!(笑) うわあ、もう、これ見れただけでチケ代の元とれたくらいに嬉しい(笑) 解散ライブ、なんてことはすっかりこのあたり忘れてて、とにかくひたすら楽しかった。こんな気持ちになれるなんて、嬉しい誤算だ! 2回目もバッチリ決まった。もうひたすらニヤけてしまった。

■そして、多分この日一番の大歓声があがったイントロ、「cream soda」、続けてベースのイントロでまた大歓声、「Hello」。もうこのあたりは感傷よりも愛しさのほうがはるかに勝っていて。「Free Your Soul」「STORYWRITER」あたりが続くと、新旧のライブの定番って感じでそりゃあ会場はいい感じに盛り上がってた。
そして、何度も何度も聴いたギターのフレーズが聞こえてきた。「Karma」だ! やったあ!!聴けた!! 心の中でガッツポーズ。気持ちよくループするフレーズ。この曲を聴くといつも、永遠に続けばいいのになあ…って思ってたっけ。それは今回も同じで。ひょっとして、このまま終わらないんじゃないのかな?とも一瞬だけ思ったけれど、でも、この曲があると、終末が近いんだなあ、ってのも無意識のうちに悟っていて。
そして、10分近くの永遠が途絶え、それまでのデジタルなリフレインとは対照的な、アコースティックなギターの音色が聞こえて来た。軽くチューニング程度に弦に触れる。
そして、その音が作るリフが流れてきた瞬間、これで最後だ、ってのを悟った。

「TRIP SKY」


淡々と、でも、しっかりと刻み込まれる音。
身動きひとつできずに聞き入った。
最後のサビが終わり、また、ギターのリフが繰り返される。
その後のアウトロで、ナカコーは掻き毟るようにギターを弾いていた。(後で知ったのだけれど、弦を引き千切りながら弾いていたらしい)
ジュンジ君も身体を縮めて轟音を奏でる。
いつもとかわらない様子でミキちゃんが淡々とベースを、
そして、何か言い聞かせるかのような風情でコーダイがドラムを叩く。

音の中、まず楽器を置いたのは、ナカコーだった。
フロアに軽く手を挙げ、下手に去った。
次に、ミキちゃんがそれに続いた。
まだ、ジュンジ君はギターを弾いている。
そんなジュンジ君に背を向けて、コーダイもドラムセットから立ち上がった。

その光景はあまりに突然目の前に現れて、
それは見続けるには辛すぎた。
そして最後にジュンジ君がフィードバックノイズを鳴らしながら、ついにその場を離れた。

耳を突く音の甲高さ以上に、心臓がミシミシと軋む音だった。
青いリアリティを見せ続けたSUPERCARの、
お終いらしいといえばらしかった。
でもそれはあまりに残酷で、
でもやっぱり、美しかった。



やっぱり、私は言葉に詰まってしまった。


それでも、こうしてこの文章を書きながら思うのは、
これから先を進むためには、この夜はあってよかったんだ、ということ。
緩いエンドマークなら先に進めない。
残酷さも優しさなのかもしれない、と思うのは、大人になったってことだろうか。



4人が去ったフロアには「LAST SCENE」がSEとして流れていた。
「ジ・エンドを素通りしたステージ」
「夢のようなストーリー」
「消えてしまったストーリー」
「静かに 静かに ただ静かに 夢を見ている」


あまりにこの場にぴったりだと思った。
なんとなく、最初から最後までが夢だったのかもしれないなあ、
とさえ思えた。



外に出たら、来た時には「SOULD OUT!」と書かれていた看板が「THANK YOU SUPERCAR!!」と書き換えられていた。
暗闇に光って浮かび上がるその看板を見ていたら、なんだかまるで映画のエンドロールを見ている気分になってきた。
そして、見せてもらってたんだなあ、って思った。
全く偽りの無い文字だった。
さらに継ぐ言葉なんてもう無かった。




<SET LIST>
01 White Surf style 5.
02 FAIRWAY
03 My Way
04 PLANET
05 Love Forever
06 RECREATION
07 WONDER WORD
08 WARNING BELL
09 Strobolights
10 YUMEGIWA LAST BOY
11 Sunday People
12 I need the sun
13 Lucky
14 Easy Way Out
15 Seven Front
16 cream soda
17 Hello
18 Free Your Soul
19 STORYWRITER
20 Karma
21 TRIP SKY

〜closing SE〜
LAST SCENE


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